ぎゅっと拳を握った。
「じいさん、俺…アメリカ行きます。そして、3年間いおと連絡を取りません」
暁斗くんの言葉を聞いて、暁おじがニッと笑った。
「そうか。やっとおまえも皆実家の人間として自覚したわけだな」
「その代わり約束は守ってもらいますよ?3年が終われば、いおと俺の関係に一切口を出さないでください」
暁おじが目を見開いた。
「お祖父さん、暁斗くんが言ってくれた通りです。私たちは条件を受け入れます。なので約束は守ってください」
きっと、この条件だと私たちが諦めると思っていたのかだろうか。
「そうか…好きにするが良い。3年なんて…乗り越えれるはずがないんじゃから」
「そんなことないです」
なめないでよ、私たちの気持ちを。
「確かに3年って長いと思います。だけど…これからも暁斗くんと一緒にいれるならこれからの3年は“たったの3年”です。必ず乗り越えてみせます」
もう、暁おじになにを言われてもひるまない。
怖くない。
「じいさん、俺にとっていおは生涯かけて守りたい大切な人なんだ。それがじいさんに伝わるように3年間頑張るよ」
ドキン・・・・
【生涯かけて守りたい大切な人】の言葉が嬉しすぎて、泣きそうになってしまう。
ダメ。
ここで泣いちゃ。
まだ、話は終わってないんだから。
「…おまえたちは皆実家を、会社を全くわかっていない!そんな、生温い覚悟で会社のトップが務まると思ってるのか!?私が今までどんな思いで守ってきたか…!」
暁おじが珍しく声を荒げた。
この時、なんだか初めてわかったような気がした。
暁おじは皆実家を、会社に携わる皆さんを守るためにきっとたくさんのことを犠牲にしてきたんだと思う。
絶対辛かったはず。
その辛さに勝つための強さがいるはず。
だから……こうしてずっと接してきたのかな。
バンッ
ダイニングの扉が開いて、暁おとがやってきた。
「父さん!?」
暁斗くんが驚いている。
「契約書として作ってきました。このアメリカ行きを最後の条件とすることを約束して、こちらにサインを」
「なっ…!貴様、相談役に向かってなんという態度だ!?」
「私は会長である前に父親です。あなたから我が子を守ります」
緊張で鼓動が速くなる。
「ですが、会長として会社や社員たちを守る立場でもあります。ですから…時期後継者として暁斗を立派にするためにアメリカ行きを私も認めます」
暁おじが悔しそうに下を向く。
「お祖父さん。私、お祖父さんに認めてもらえるように頑張ります。ですから…これからの私を見てもらえませんか?」
「なにを言って…。貴様に会社のことなんて微塵もわからんだろう」
「はい!わかりません!!」
周りのみんなが【は?】って顔をしたのがわかった。
暁斗くんも呆れてる。
「会社のことはこれからもわかるつもりは全くありません。だって私が関わることではないと思うので」
「なら、何の役に立てると言うんじゃ」
「えっと…うまく言えないけど……暁斗くんがたくさん笑って過ごせるように…とか、掃除したりとか、、あ!美味しいご飯作ったりとか…いや、でも料理長のスペシャル美味しいご飯があるしなぁ……」
私がブツブツ言ってると「プッ!!!」と笑い声がした。
周りを見ると、暁斗くんと暁おじ以外がクスクス笑ってる。
「伊織らしいね♪」
和希くんが笑ってそう言ってくれた。



