大嫌いな王子様 ー後編ー


「送ってくれてありがとう」

ほんとはまだまだ暁斗くんと一緒にいたい。
だけど現実はこれからアルバイト。


「あとで迎えに来る」   

「いつもごめんね」

「俺が来たいんだよ」


・・・・・・

なんだか、名残惜しい。


「いお」

「??」

車の後部座席の窓から手を出した暁斗くん。
そしてそのまま私を引っ張る。

「わっ!」

バランスを崩した私は一瞬倒れそうになりながら、窓際に近づいた。



ひそっ
「あとで…またキスしよ?」


ドキーッ!!!


いきなり耳元でささやかれた言葉。

私は耳を押さえる。
絶対顔は真っ赤。


「バ…バカ暁斗くん!」

「は?誰に向かって言ってんだよ」

その挑発的な笑顔すらかっこよくて、見惚れてしまう。



車は去って行き、コンビニに入る前に私はスマホで電話をかけた。


プルルルー・・・
しばらく続く機械音。

忙しいよね。。

諦めて切ろうとした時だった。


「なんだ」

ドクンッ

繋がった。


「いきなりお電話を申し訳ありません。…お話しがあります」



ーーーーーーーーーーーーーー


「お疲れ様でしたー」

コンビニを出ると、暁斗くんが待ってくれていた。
そして飯田さんも。


「いつもありがとう」

「お疲れ様。帰るか」


車に乗って手を繋ぐ。
離れていた時間分、少しでも多く触れていたい。


「いおの家に向かってくれ」

「あの!飯田さん!待ってください」

急に私が止めたから暁斗くんが不思議そうな顔でこっちを見る。


「飯田さん、暁斗くんの家に向かってください」

「は…?」


今からラスボスと闘うから。


「伊織様、承知しております。ありがとうございます」

暁おとが飯田さんに言ってくれたかな??



(回想)

アルバイト前の電話ー・・・


「なんだ」

「いきなりお電話を申し訳ありません。…お話しがあります」


「わしに直接連絡とは…度胸は認めよう」

相手は暁おじ。


「出来れば急ぎでお話ししたいです」

「なら…今晩はどうじゃ」

「はい、よろしくお願いします」


(回想終了)


暁おじと電話をしてから、暁おとに今晩暁おじと話をすることのメッセージを送った。

アルバイト中に『わかった』とだけ返事がきていた。


とりあえず、暁斗くんの家に来なさいと言われたけど。。。

緊張ー!!!!!!


暁斗くんには私から言うから誰も言わないでと、暁おとにお願いした。
だって、また絶対心配かけるし自分でなんとかしようとするから。


「暁斗くん!ラスボスとほんとに最後の決戦だよ!!」

「は??ラスボス??なに???」

暁斗くんの顔に【?】がたくさん書かれてるようなぐらい、意味がわからないっていう表情をしている。



「お祖父さんと話をしよう。それで、決着つけよう!」


「いお……」



ーーーーーーーーー

「伊織〜!!大好き〜!!!」

暁斗くんの家に着いた瞬間、玄関で和希くんが抱きついてきた。


暁斗くんに殴られてるけど、もう見慣れた光景で私はスルーをしてダイニングに向かった。


ひそっ
「伊織…さっき暁兄に聞いたから。よかった」


和希くん…


「話、たくさん聞いてくれてほんとにありがとう」

和希くんがアメリカ行きを教えてくれたから、足掻いてみようって強く思えるようになったんだよ。


「伊織、ウチに泊まるの?」

「ううん。ちょっと話があって…。たぶんもうすぐ来られると思う」


まだ、暁おじはいなかった。


「いお、ありがとう。一緒に闘おう」


「うん」


牧さんもダイニングに来てくれた。

暁斗くん、和希くん、飯田さん、牧さん、そして私でダイニングで待つ。


しばらくして、スーツを着た男性がやってきた。


「大旦那様が帰って来られました」

その人を見て、飯田さんが言った。



「みんな勢揃いか」


ラスボスがやってきた。


「急なことですみませんでした。お時間を作ってくださり、ありがとうございます」

私は椅子から立ち上がり、頭を下げた。


「いお、頭なんか下げんな」

「ううん。ワガママ言って時間作ってもらったんだもん」


私はジッと暁おじを見る。


「さぁ、用件を聞かせてもらおうか」