大嫌いな王子様 ー後編ー


———・・・


「そうだったのね…」

暁斗くんと別れた話やアメリカ行きのことを伝えた。


「適当なことは言えないけど…でも絶対なにか理由があるわね。暁斗さんが伊織に伝えられない理由が」

「やっぱり…そう思う?私もそう思うんだけど、調べようがなくて。。和希くんも飯田さんもわからないって言うし。。それにもしかしたら…」

もしかしたら、ほんとに別れたかったんじゃ。。と、まだウジウジしている自分がいる。



「伊織。お母さんね、あんなに純粋でまっすぐで人のことを想える人は早々いないと思うの。断言出来るわ、あんなに伊織を大切にしてくれる人はほかにいない」

お母さん…


「私たち家族のことまで考えてくれて…こちらが迷惑をかけてるのに伊織のことでたくさん頭を下げてくれてたのよ」

暁斗くん…会いたいよ。



「今度は私たちの番ね!出来ることは限られるけど、暁斗さんを救おう!ね?」

お母さんとこんな風に自分のことをじっくり話したのはいつぶりなんだろう。


「うん…!!お母さん、ありがとう!!」

お母さんが私の頭を優しく撫でてくれる。


「そのためには早く風邪を治して、まずは入試を通らなきゃね」

「頑張る!風邪もすぐ治す!」

「そういえば、飯田さんがこれを飲めばすぐ良くなるってお薬くれたわよ」

そう言ってお母さんが粉薬を出した。


「なんでも、皆実家お抱えのお医者さんが調合した最強のお薬なんですって」


えーーー……
なんかちょっと胡散臭いなぁ
なんて、思ってしまう私は恩知らず。


飯田さんに今日バイトを休んだからお迎え良いですって連絡したけど、心配かけちゃったなぁ。

暁斗くんは風邪とか引いてないかな?
ちゃんとご飯食べて寝てるかなぁ?



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「行ってきます」

「いつも通りにね。頑張ってね」


時は流れて推薦入試当日に。
お母さんに見送ってもらって家を出た。



「なんで…」

アパートの前に飯田さんが車を停めて待ってくれていた。


「おはようございます、伊織様。入試会場までお送りさせてください」

「そんな…悪いです!」

「坊っちゃまたちのお願いですので」

暁斗くんと和希くん…?


「…ありがとうございます」

ふたりとも忙しいのに私のことをいつも気にかけてくれて・・・


バタンッ
車に乗り込む。

「私を甘やかし過ぎです」

「とんでもございません。もっと甘えてほしいぐらいですよ?」


暁斗くんが背中を押してくれたから、今日入試を受けることが出来る。


しばらくして入試会場の志望大学前に着いた。

いかん、、、目立ってる、この車。


「行ってらっしゃいませ、伊織様」

「い、行ってきます!!」

ぺこりと一礼をして頭を上げると、飯田さんが手を出した。


「頑張ってください。応援しております」

私も手を出すとなにかを渡してくれた。
手のひらを見ると、お守りがあった。


「坊っちゃまからのお気持ちです」

「あ、暁斗くん…!?」

飯田さんはニコッと笑ってくれた。

私はお守りを握りしめて、大学内へ向かった。



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よしっ。なんとか出来た!
あとは…結果を待つのみ!


カツンッ・・・


席を立った時にシャーペンを落としてしまった。


「はい」

男の子が拾ってくれた。


「ありがとうございます」


入試を無事終えて帰ろうとしたけど、大学の中が複雑で迷ってしまった。


「なにしてんの?こっち出口だけど」

「え!?あ、ありがとうございます!!」

さっき、シャーペンを拾ってくれた子だ。。


私が迷ってたせいで門まで付いてきてくれることになった。


「なんだか…すみません」

「別に」


無表情でこちらにも向かず言われる。
お手数かけて、ほんとにすみません!!



門が見えてきた。


「…ここが第一志望?」

「は、はい!!」

いきなりの質問にビックリして大声で答えてしまった。


「いや、声でかいから。それになんでタメなのに敬語?」

あ…笑った。

背は少し低めで、笑った顔が可愛い男の子。
雰囲気は和希くんに似てるような気がするなぁ。


「あんた、面白いね。俺もここが第一志望なんだよ」

「そうなんですね」


男の子がスマホを出した。

「まぁ、お互い無事に受かったらー…」