大嫌いな王子様 ー後編ー

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「そろそろ寝るか」

「うん。遅くまでありがとう」

時間は深夜2時前。


暁斗くんが立ち上がる。


「あっ…ねぇ!」

無意識に暁斗くんの服を引っ張っていた。


「なに?」

「えっと…」


こんな時間だし…まだ離れたくないって言ったら迷惑過ぎるよね。


パッと手を離した。

「ごめんね、なにもないよ」


ガタッ
暁斗くんはまた椅子に座り直して、私を見た。


「言え。5秒以内に」


出た!!俺様の脅し!!



「…もーちょっとだけ、一緒にいたいなって…」

さすがに眠いよね。
はぁ?って言われるよね。


すり…
暁斗くんが私のほっぺに触れる。

それだけでドキドキする。


「ちょっとでいいの?」


もう、、、勇気出して言ったのに

「意地悪……」


暁斗くんはニッと笑ってキスをしてくれた。
その表情もかっこよくて、私は見惚れてしまう。



長く続くキス。


「暁斗くん、もう…」

息をするのもやっとの中、暁斗くんに伝えてもキスは止まらない。


そしてようやく離れた唇。


「勉強のご褒美ちょうだい」


ドキドキがすごくて息がしづらい。


「えっと…ご褒美って…」

わっ私…なにをすれば……
もしかして、とうとうキスの続きを…!?


「あははは!!」

私が悩んでいると、暁斗くんが笑いだした。


「いお、可愛すぎるから」

笑いながら言われても説得力がない。



グイッ

「ひゃあっ!」

お姫様抱っこをされた。

わわわわ!!!
ヤバイ、もう心臓もたない!!
鼻血も出ちゃう!!
辞世の句も読んでないのに!!


「煽ったのはいおだからな」

えっと、ほんとにヤバイ
鼓動が尋常じゃない速さだから


ドサッ

ベッドまで運ばれた。
そして、私の上に覆い被さるようにいる暁斗くん。


「あき…」

「いおがさっき考えてたこと、しよっか?」


ドキーーーッ!!!

なっなに!?
全部お見通し!!??


「はいっ!?な、なにも考えてないし!」


「へぇ〜」


そう言って、また暁斗くんがキスをした。


緊張というか、ドキドキがヤバイけど
不思議と嫌じゃない。

前に感じた怖さもない。
(まぁ、正確にはちょびっとあるけど)


だけど…暁斗くんとなら・・・


私はキスをする暁斗くんの首の後ろに手を回した。



「バカッ!」

すると、暁斗くんがキスをやめた。


あれ…?
暁斗くん、さっきよりすごく顔が赤い。



「マジで煽んな」

そう言って私の隣に寝転がった。


「止まんなくなるだろうが…」


やっぱり暁斗くんは優しい。


「大事にしたいから」

私の髪に触れる手。
その手を私は握った。


「もう、十分大事にしてもらってるよ」


暁斗くんが目を大きく見開いた。

そして少ししてから優しく笑ってこう言った。

「なぁ、受験とか色々落ち着いたらふたりで旅行に行かね?」



わ…嬉しい。


「行く。行く行く。絶対行く!!」


「はは!!そんな何回も言わなくてもわかったって」

くしゃっと笑う顔。
この人はどれだけ好きにならせるの?



「その時は…覚悟しとけよ」


私はコクッと頷いた。



暁斗くんの温もりをこんなに毎日感じれるのも、あと2日なんだよね。


「一緒に寝るの、ご褒美にしてよ」


「私にとってもご褒美なんだけど」


「バーカ…」


そのまま、私たちは手を繋いで眠りについた。