「お姉ちゃーん!!」
「晴〜!!」
お母さんたちの荷物は先にアパートに無事届き、お母さんは荷解きをしていた。
「お母さん、ほんと急にごめんね」
「なんで謝るの。お母さんたちこそほんとにありがとう。今までのご恩をきちんと暁斗さんたちに返さなきゃね」
「うん。そうだね」
今回のアパートは前に住んでいた所よりひと部屋多くなっている。
お風呂もトイレも綺麗だし、十分過ぎる。
「お母さんも働くわね」
「いい!私すぐバイト見つけるから。お母さんは家を守ってて?」
「伊織…ごめんなさいね」
お父さんの仕送りもあるから、前の喫茶店ぐらいの時給ならなんとかなる。
だからバイトもまだ見つけやすいはず。
暁斗くんの所で貯めた貯金はすぐ底をつくだろうから、急いで探さなきゃ。
荷解きをしていたらあっという間に19時を回っていた。
「お母さんね、マンションでおにぎりとか作ってきたの。今日は引っ越した所だしなにか作るのは大変だから、これでもいいかしら?」
お母さんがおにぎりや卵焼きが入ったお弁当箱を出した。
「わぁー!美味しそう!!」
「僕、タコウインナー食べるー!!」
3人でお母さん手作りのお弁当を食べる。
なんだか、前に戻ったようで少しホッとする。
それと同時に感じる、寂しさ。
なんだろ…この寂しさは。
おにぎりを食べてから、ふと鞄の中を探る。
「おわっ…!!」
スマホにものすごい数の不在着信。
えーーーっと…32件!?
メッセージもいくつかきてる。
暁斗くんだ。
私がいないことに気づいたんだろうな。
ヴーッヴーッ
そんなことを考えていたら、またスマホが鳴った。
暁斗くんからの着信。
どうしよう。。
「伊織、出ないの?」
なんて言えばいいか、いざとなると困ってしまって…
「連絡取らなきゃ、暁斗さんと本当に《離れる》ことになってしまうかもしれないわよ?」
ドクンッ!
やだ、そんなの絶対やだ!
「ちょっと電話してくる!」
そう言って私は家を出た。
アパートじゃ狭くて話し声聞こえまくりだしね。
アパートの前でまだ鳴っている着信に出る。
「もしもし…」
「いお!?いおだよな!!??」
「う、うん。そうだよ」
「…はぁー……よかった。繋がった」
怒られるかなって思ってたら、暁斗くんの声はすごく心配していた声でものすごく申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「あ…暁斗くん、心配かけてごめんね」
さぁ、どこから話していこうか。。
「………」
「暁斗くん?」
無言になった暁斗くん。
「テメェ…」
「え??」
「テメェ今どこにいんだ?ふざけてんのか?とっとと帰ってこい」
あれ…?
さっきまでの心配してくれていたトーンはどこへやら。
ものすごい俺様&悪魔モードになってしまった。
「いや、あのですね…実は…」
「めんどくさい喋り方すんな。キレる前に帰ってこい」
いや、もうすでにキレてますやん。
なかなかのキレ具合ですやん。



