【りっくん! 来週の放課後、買い物に付き合ってくれない?】
買い物か……。
「おっ。璃久さん、愛しの南実ちゃんからのメッセージっすか!?」
「愛しの南実ちゃんって、お前……。南実はただの幼なじみだって、前から言ってるだろ?」
斗真のからかうような言葉に、ほんの少しイラッとする。
「えー? でも、璃久さんと南実ちゃんは美男美女で、すごくお似合いだと思いますよ?」
「……そうか?」
【買い物いいよ。付き合う。】
斗真に返事しながら、俺は南実にメッセージを返す。
南実とは、俺が祖母の家に引っ越してから出会った。
南実は、祖母の家の近所に住む同い年の女の子で、6歳の頃から一緒に過ごすいわゆる幼なじみだ。
『りっくん! 公園行こう』
『ねぇ、りっくん。今日はアイス食べに行かない?』
両親を突然亡くして家に塞ぎ込んでいた俺を、元気出せと毎日遊びに誘って、外へと連れ出してくれたのが南実だった。
あのときの延長といった感じで、高校生になった今でも南実とはたまに二人で出かけたりしている。
でも、俺にとって南実はただの幼なじみでしかない。
だから、南実に対して恋愛感情を抱いたことは一度もない。
それはおそらく、南実にとっても同じ。



