栞里は俺のことを全く覚えていないみたいだったし、今や不良となってしまった俺が、彼女とは関わるべきじゃないと思っていたが。
進藤とぶつかり怪我をしてしまった祖母を栞里が助けてくれたと聞き、そのせいで彼女が進藤に目をつけられたと知ったら、やっぱり放ってはおけなかった。
ただでさえ福羽学園は、ケンカ好きの不良たちが集まる学校だ。
そのうえ、ほぼ男子しかいないから、女に飢えてるような奴ばかり。
だから俺は、栞里を進藤や学校の不良たちから守るため、彼女の仮の恋人になることを申し出たのだった。
それと、表面上だけでもあいつの彼氏として、栞里のそばにいたいという気持ちが、少なからずあったから──。
こんなこと、口に出して言えやしないけど。
──ブーッ、ブーッ。
栞里にもらった四つ葉のクローバーの栞を見ながら、これまでのことを思い返していると、俺のスマホが振動した。
見てみると、南実からのメッセージだった。



