学園のトップになってからというもの、その座を狙う奴も多いからか、今まで以上にケンカを売られることが増えた。
街でも学校でも、誰かと殴り合ってばかりの日々。
そんな変わり映えのしない毎日がこれからも続くと思っていたが、高校2年の初日の朝。
いつものように登校して廊下を歩いていると、栞里が俺の目の前に突然現れた。
『……っ、お前……!』
廊下にできていた人だかりの間から姿を現した、幼いあの頃の面影がある女子の顔を見て、俺はハッとした。
最初、まさかとは思ったけれど。
『今日から女の子が転校してくるって、噂になってたよ。名前は確か……花村さんだっけ?』
『はっ、はい。花村栞里です』
迅に尋ねられ、本人の口から花村栞里という名前を聞いた俺は確信した。そして……
『ここは、お前みたいな女が来るところじゃない。今すぐ出ていけ』
世間でヤンキー高校と呼ばれ、日々ケンカが絶えない福羽学園に栞里のような女がいたら危ないと思ったから。
栞里に会って早々、出て行けだなんて、ついひどいことを言ってしまった。



