『お前が、噂の黒澤か』
高校に入学して2週間ほどが経ったある日。
この学園のトップだという、1学年上の黄金色の髪の先輩・横峯が突然俺に絡んできた。
『おい、黒澤。俺と勝負しろ』
中学の頃、なぜか学校で一番強い男だと言われていた俺の噂を聞いたという横峯は、俺に勝負を挑んできた。
『嫌です。俺、無意味なケンカとかしたくないんで』
面倒なことに巻き込まれたくない俺は、その勝負を断った。
『はあ? お前に断る権利なんてねぇ。ここでは、トップが言うことは絶対なんだよ!』
逆鱗に触れたのか、顔を赤くさせた横峯がいきなり俺に殴りかかってきた。
俺はそれをサラリとかわし、相手の急所にパンチを入れる。
『ぐっ』
さすが学園のトップというべきか。
今まで戦ったヤツらみたいに、簡単にはいかなかったけど。
ドカッ、バキッ、ドサッ!
何度かやり合ったあと相手は倒れ、俺は横峯に勝利した。
『すっげー! あの横峯に勝つなんて!』
『今日から、あいつがウチのトップだよ!』
俺と横峯がやり合うのを見ていたらしい、ギャラリーの声が飛び交う。
今まで知らなかったけど、どうやら福羽学園ではトップの生徒に勝った奴が次のトップになれるらしい。
そういうことは全く興味なんてなかったけど、横峯に勝った日から俺はこの学校のトップになった。



