黒澤くんの一途な愛



それから10年もの時が流れ、高校生になった俺は福羽学園に入学。


元々は、不良やヤンキーとは縁のなかった俺だけど。


たまたま進学した公立の中学校が不良の多い学校で、めちゃくちゃ荒れていた。


ただ廊下を歩いているだけで、不良にがんを飛ばされたり。ケンカなんて日常茶飯事。


自分から誰かにケンカを売ったことは一度もないけど、売られたケンカは買っていた。


向こうからケンカを仕掛けられて一人、二人と倒しているうちに、いつしか俺は最強だ何だと言われるようになっていった。


『君、強いんだね。空手とか、何かやってるの?』


迅とは、中学2年のときに同じクラスになって、迅のほうから俺に声をかけてきた。


赤髪という見た目から、最初はやばい奴なのかと思っていたけど、話してみたらめっちゃ良い奴で。

俺とウマが合うのか、一緒にいて楽だった。


『璃久さん、今日もかっこいいっす』


斗真も、俺が不良のパシリから助けてやって以来の仲だ。


敬語じゃなくていいって言ってるのに、なぜか俺や迅にはいつも敬語で。

斗真は俺のことを慕ってくれているのか、弟みたいな感じで可愛い奴だ。


福羽学園は、中学の延長みたいな感じで周りのみんなが進学するからという、本当に単純な理由で選んだ。