黒澤くんの一途な愛



俺が6歳の冬。両親が交通事故に遭い、突然亡くなったからだ。


『母さん、どうして死んじゃったんだよ。父さんも……なんで俺を置いていったんだよ……っうう』


栞里に会えないと分かったときも辛かったけど、両親の突然の死はそれ以上に辛くて。


俺は涙が枯れるんじゃないかってくらいに、毎日毎日泣き続けた。


まるで、世界にひとりだけ取り残されたような気持ちになった。


両親がいなくなった俺は、祖母の家に引き取られ、県外へ引っ越すことが決まった。


引っ越してしばらく経った日。


俺は祖母に栞里とその母親について聞いてみたけど、祖母はその人のことは知らなかった。


俺も栞里のことは『花村栞里』という名前しか知らず、他に手がかりは何ひとつなかったから。


彼女には、もう会えないんだと思っていた。


だから、栞里からもらったクローバーを使って今は亡き母が作ってくれた栞は、俺にとってより一層、大切なものになっていた。