『えっ、でも……いいの?』
『うん。四つ葉のクローバーを見つけると、幸せになれるんだって。だから璃久くん、泣かないで笑って? ねっ!』
なかなか見つけられずにめそめそ泣いていた俺の手のひらに、栞里が四つ葉のクローバーをのせてくれた。
このとき栞里が俺に見せてくれた笑顔が、空に輝く太陽みたいで。
その笑顔を見た瞬間、胸が高鳴るのが分かった。
栞里のキラキラの笑顔は、すごく可愛くて。
俺の心に、深く刻み込まれたんだ。
*
俺が栞里に会ったのは、あの日の一度きり。
『ねえ、母さん。俺、しーちゃんに会いたいな』
幼い俺は、栞里のことを“しーちゃん”と呼んでいた。
栞里に会いたくなった俺は、ピクニックの数日後に母さんに尋ねてみたのだけれど。
『璃久。残念だけど、栞里ちゃんにはもう会えないのよ』
『えっ、どうして!?』
『栞里ちゃんはお父さんのお仕事の都合で、遠くに引っ越したから』



