黒澤くんの一途な愛



翌朝。


「おはよう、栞里」

「おはよう、黒澤くん……はい」


私はいつものように家まで迎えに来てくれた黒澤くんに、ある物を渡した。


それは、昨日見つけた四つ葉のクローバーを使って新しく作った栞。


──『せっかく頑張って見つけたんだから、その四つ葉は栞里が持っててくれ』


黒澤くんは昨日、私にそう言ってくれていた。


だから、こんなことをしても、私のただの自己満足なだけかもしれないけど。


やっぱり、どうしても弁償したかった。


「あの栞の代わりには、ならないかもしれないけど……」

「わざわざ、作ってくれるなんて……サンキュ」


黒澤くんは、私が渡した栞をじっと見つめる。


「あの栞は、大事な人からもらった物だったから。再現してもらえて嬉しいよ」

「確か、黒澤くんのお母さんからもらったんだっけ?」

「ああ。あと、あの栞は……俺の初恋の思い出でもあるんだ」


──ドクン。


心臓が嫌な音を立てた。


「初恋の……思い出?」