黒澤くんの一途な愛



「あっ!」


ようやく私は、四つ葉のクローバーを見つけた。


四つ葉のクローバーを手に取り、私は空へと向かってかざす。


ああ、良かった。あの栞の代わりにはならないかもしれないけど……これで、黒澤くんに栞を作って渡せるよ。


「うぅ、寒っ」


今は4月の終わりとはいえ、日が暮れる頃になるとまだ少し寒い。


冷たい風が足元を通り過ぎていき、ぶるっと身体を震わせていると。


「栞里!」


突然、後ろから名前を呼ばれた。


「黒澤くん!?」


振り向くと、黒澤くんが肩で息をしながら立っていた。


「栞里のお母さんから、栞里が家に帰って来ないってメッセージが届いて……」


えっ。黒澤くん、いつの間にお母さんと連絡先の交換なんてしてたの?!


「ったく。何やってるんだよ、こんなところで……」


黒澤くんの目が、私の手元に向かう。


「もしかして、四つ葉のクローバーを探してたのか?」

「うん。だって私のせいで、黒澤くんの大事なものが……」

「あれは、もういいって言ったのに。あまり遅くなったらお母さんも心配するだろ?」

「ご、ごめんなさい……っくしゅっ!」

「はぁ……」


くしゃみをした私を見て、黒澤くんがため息をつく。