黒澤くんの一途な愛



思い出したいのに、記憶のなかのその子の顔には靄がかかってしまっている。


お母さんの友達とはいえ遠くに住んでいたから、彼らと頻繁に会うこともなかったし。


そのうえ、ピクニックのあとすぐに私たち家族は引っ越してしまったから。


男の子と会ったのは、ピクニックに行ったあの日の一度きり。


記憶の糸を、必死に手繰り寄せようとするも、彼の名前はやはり出て来なかった。



それからもずっと探し続けるけど、四つ葉のクローバーは一向に見つからない。


四つ葉のクローバーって、こんなにも見つからないものだっけ?


地面にずっとしゃがみ込んでいたら、足がだんだんと痛くなってきた。


空を見上げると、茜色だった空が藍色に染まり始めている。


これだけ探してもないのなら、もう見つけるのは無理なのかな?


いや、まだ諦めちゃダメだ。あともう少しだけ……。


そう思い、私が再び地面にしゃがみ込んだそのとき──。