さっき家まで送ってもらったときに、黒澤くんに栞のことを謝ったら『もういいから。気にすんな』って言ってくれたけど。
彼に、せめてものお詫びがしたかった。
「そういえば昔、誰かと一緒にこうやって四つ葉のクローバーを探したことがあったなぁ」
シロツメクサが咲く空き地でひとり黙々とクローバーを探していると、ふと昔のことを思い出した。
私が幼稚園生だった頃、お母さんとお母さんのお友達とその息子さんと4人で、一度だけピクニックに行ったことがあった。
クローバーが一面に咲く丘で走り回りながら、私のことを『しーちゃん!』と呼ぶ、幼い男の子の姿が頭の中を過ぎる。
えっと、あの子は誰だっけ?
『しーちゃん、しーちゃん』って、何度も私を呼んでくれた、あの男の子の名前は……。



