「栞……?」
床に落ちていたのは、本の栞だった。
白い紙に、四つ葉のクローバーが押し花のようにして貼られている。
私が拾おうとしたとき、クラスメイトとじゃれ合いながら後ろ向きで歩いてきた井上くんという男子が、栞を踏んでしまった。
「……あ」
ちょうどそのとき、席を外していた黒澤くんが戻ってきて、その瞬間を目撃。
井上くんが踏んでしまったせいで、真っ白だった栞は黒く汚れてしまった。
ど、どうしよう……!
私の額に、ひやりと冷たい汗が流れる。
「おい、お前……!」
汚れた栞を見た途端、怒りをあらわにした黒澤くんが、栞を踏んだ井上くんの胸ぐらを掴んだ。



