黒澤くんの一途な愛



数日後。学校の休み時間。


「おい、花村!」


いつも通り、教室で蘭菜ちゃんと話していると、担任の先生に声をかけられた。


「花村。お前今日、確か日直だったよな?」

「あっ、はい!」

「悪いけど、これを職員室まで運んでおいてくれないか?」


先生がさっき授業で回収した、クラスメイト全員分の課題のノートを指さす。


「先生、急用で。今から、他の教室に行かなきゃならないんだよ」

「分かりました!」


慌てて立ち上がり、急いで教卓へ行こうとしたら……。


──ガンッ!


「痛っ」


急ごうとするあまり、ちゃんと周りを見ていなかった私は、机の脚に膝を思いきりぶつけてしまった。


う〜っ、痛い……。


「栞里ちゃん、大丈夫!?」


思わずその場にしゃがみ込んだ私に、蘭菜ちゃんが声をかけてくれる。


「だ、大丈夫だよ」


すぐに起き上がって、ぶつかった机を確認すると、それは黒澤くんのものだと分かった。


「うわぁ。ごめん、黒澤くん……!」


いま黒澤くんは席を外しているけど、私がぶつかったせいで、黒澤くんの机は大きく傾いてしまっていて。


彼の机の上に置いてあったものが、床に落ちていた。