黒澤くんの一途な愛



璃久くんとの初めてのキスは、ドキドキで。


本当に付き合うことになったんだって、実感する。


「栞里、もう1回していい?」

「いいよ」


再び唇が重なり、深くまで熱が絡められる。


「頬、赤らめちゃって。ほんと可愛いな、栞里」

「り、璃久くんだって、耳赤くなってるよ?」


ヤンキー高校と呼ばれる福羽学園に転校してきたばかりの頃は、不安でいっぱいだったけど。


璃久くんが仮の彼氏として、私のそばにいてくれた。


『俺がお前を全力で守ってやる』


この言葉通り、璃久くんはどんなときも私のことを守ってくれた。


私が福羽学園に来ることになったのは、偶然ではなくきっと必然で。


大好きな璃久くんと、会うためだったのかもしれない。


私たちは一度は離れてしまったけど、11年前に結ばれた縁はちゃんと現在まで繋がっていたんだね。


福羽学園に来たお陰で、璃久くんだけでなく蘭菜ちゃんにも出会えたし。


村崎くんや赤松くん、そして……透くんとも会うことができた。


もしひとつ道が違えば、誰ひとり会えていなかったのかもしれないと思うと、人との出会いって本当に奇跡なんだなぁ。