うそ。黒澤くんが、私のことを……?
「だから……引っ越してもう二度と会えないと思っていた栞里に、高校で再会できたときは本当に嬉しかった」
「……っ」
「好きだよ、栞里」
黒澤くんの言葉に、視界が滲んでいく。
てっきり、別れ話を切り出されるのだとばかり思っていたのに。
こんなふうに、告白してもらえるなんて。
それだけで、嬉しいのに。
黒澤くんが11年もの長い間、ずっと私のことを忘れずに想い続けてくれていたなんて。
胸に熱いものが込み上げる。
「それじゃあ、黒澤くんが前に話してた初恋の人って……」
「もちろん、栞里のことだよ」
目を潤ませる私に微笑んで、黒澤くんが言葉を続ける。
「俺は、栞里が大好きだ。このまま彼氏と彼女のフリで終わらせたくない。フリなんかじゃなく、俺の本当の彼女になってください」
真っ直ぐに伝えられた、ストレートな言葉。
胸がいっぱいになりながら、私は声を振り絞るようにして答える。
「はい。私も黒澤くんが……璃久くんのことが好き。だから、私を璃久くんの彼女にしてください」



