「あのとき、お前を一人で帰らせて悪かった」
「……っう、っく……」
おばあさんのことがあったから、黒澤くんは何も悪くないって伝えたいのに。
嗚咽が混じって、上手く話せない。
「怖かったよな。栞里が無事で本当に良かった。栞里に何かあったらと思うと俺……」
黒澤くんに、ぎゅうっと痛いくらい強く抱きしめられる。
「く、黒澤くん……苦しいよ」
だけど、抱きしめてくれる腕の強さから黒澤くんが本気で私を心配してくれているのだと伝わってきて。
こうしてしばらく彼の温もりを感じていたら、だんだんと気持ちも落ち着いてきた。
「……ったく、見せつけてくれるなぁ」



