黒澤くんの一途な愛



心の中で彼の名前を叫び、私の目尻から冷たい滴がこぼれた、そのとき。


──ブォンブォン。


外から、複数のバイクの音が聞こえてきた。


ハッとして、うつむいていた顔を上げる。


もしかして。いや、そんなわけが……。


ありえないと思いながらも、期待してしまう私。


「よっ、横峯さん……!」


倉庫の外で見張りをしていたらしい坊主頭の男が、慌てた様子で駆けて来た。


「横峯さん、あいつらです!」

「フッ。随分と待たされたが、ようやく来たか」


地面に落としたタバコを足で踏みつけながら、横峯は片方の口角だけを上げてニヤリと笑った。


横峯さんのあの顔、まさか……本当に?


私が半信半疑でいると。


──バァン!!


倉庫の扉が勢いよく開き……


「栞里っ!」

「!」


黒澤くんが……。赤松くんや村崎くん、みんなの姿が見えた──。