「……っ」
苦笑して、涙がつっと頬を伝い落ちた。
黒澤くんは、唯一の肉親であるおばあさんを助けた私に恩を感じて、そばにいてくれてただけ。
そう、頭では分かっているのに……。
そのことが今、どうしてこんなにも悲しいんだろう。
黒澤くんが、初恋の女の子と両想いになったら……私と黒澤くんの仮の恋人関係も終わる。
黒澤くんの隣にいるのが、自分じゃない他の女の子だと想像するだけで、涙があふれて止まらない。
「っう」
口に猿ぐつわを噛まされているから、声は出せないけど。
私、黒澤くんのことが好きだ。
黒澤くんと南実さんが一緒にいるのを見るたびに、胸の辺りがモヤモヤしたのもそういうことだ。



