黒澤くんの一途な愛



「横峯さん、この女どうしましょう?」


進藤くんが、透くんに尋ねる。


横峯って……透くんが?


「立たせろ」

「了解です。ほら、立てよお前!」


透くんに命令された進藤が私の両脇に手を入れ、力ずくで立ち上がらせる。


「う、嘘だよね? 透くんが横峯さんだなんて。進藤くんと仲間だなんて……」


声だけでなく、縄で拘束されている手足もガクガクと震える。


これは、何かの間違いだ。きっと、悪い夢でも見てるんだ。


あの優しかった透くんが、学園で横暴だって噂のヤンキーな訳がない。


「嘘じゃねえよ。俺の本当の名前は、横峯透だ」

「横峯、透……」


その名を聞き、頭の後ろをガンッとハンマーで殴られたような心地がした。


まさか、透くんが福羽学園でトップだった横峯さんだなんて。


さっき気を失う前に、もしかして……って、一瞬思ったけど。


どうか、私の間違いであって欲しかったのに。


「緋山は、母親の旧姓だ。小学6年のときに母親が再婚して、苗字が緋山から横峯に変わったんだ」

「……っ」


信じがたい現実が、胸に重くのしかかってくる。


「小学生の頃、お兄ちゃんみたいに優しかった透くんがどうして!? どうして不良なんかに……」