「嘘……」
私は、言葉が続かずに固まってしまう。
だって、いま私の前に立ったのは……透くんだったから。
ただ、これまで私が見ていた真面目な高校生の姿とは１８０度違っていた。
黄金色に染められた髪、鋭い眼光。耳には、いくつものピアス。
目の前にいるのは、確かに透くんのはずなのに。まるで別人のようだった。
いつも掛けていたメガネもなく、彼はズボンのポケットに手を突っ込みながら、ニヒルな笑みを浮かべて私を見下ろしている。
「フッ。どうして俺がここにいるんだ？ とでもいうような顔をしているな」
状況を理解できずに固まる私を見て、透くんが鼻で笑う。
