黒澤くんの一途な愛



この間、街中で進藤くんと一緒に私と蘭菜ちゃんを攫おうとした緑色の髪の男も、進藤くんの隣でニヤリと笑っている。


「目が覚めたのなら、さっさと起きろ」

「……痛っ」


進藤くんに髪を思いきり引っ張られ、無理やり上半身を起こされる。


「ちょっと、乱暴はやめて……」

「横峯さん! 花村のヤツ、目が覚めたみたいです」


進藤が呼んだ『横峯』という名に、肩がビクッと跳ねる。


横峯さんは、かつて福羽学園でトップだった人。トップだった頃は、かなり横暴だったって噂の。


その横峯さんが……ここにいるの?


暗がりで、私からは姿が見えないけれど。


コツコツと、誰かがこちらに歩いてくる足音がする。


やがて、その足音は私の前で止まった。


「こうして会うのは、初めてだよな。黒澤の彼女さん」

「っ!」


相手と目が合った瞬間、私は息を呑んだ。