「栞里ちゃん、今日はひとり?」
「うん」
「いつもの……あの彼氏さんは?」
「黒澤くんは、おばあちゃんが倒れたみたいで病院に……」
「そうなんだ。それは心配だね」
透くんは、濡れた髪の毛をハンカチで拭いている。
その際に髪を手で掻き上げ、いつもは長い前髪で隠れている彼の左目が露わになった。
左目の瞼にはまだ少し痛々しい見た目の、十字架のような赤い傷痕があり、心臓が軽く跳ねる。
あの傷は確か、転んで怪我をしたときにできた傷だって、前に透くんが話してたっけ。
「あ。もしかしてこれ、気になる?」
私が傷を凝視してしまっていたからか、透くんが自分の左まぶたを指さす。



