【栞里ちゃん、ごめん。俺、用事を思い出したから先に帰るよ! 自分から誘ったのに、ほんとごめんね。】
メッセージのあとには、泣いている某アニメキャラクターのスタンプが送られてきた。
透くん、用事か……。それなら、仕方ないよね。
私は透くんに【いいよ。気にしないで!】と、返信する。
彼と帰れなくて残念なはずなのに、なぜか少しホッとしてしまった。
「おい、栞里。透ってヤツは良いのか?」
「あっ、うん。先に帰ったみたい。それより黒澤くん、さっきの話だけど……」
「あー、俺の思い違いみてぇ。緋山って名前のヤツは、福羽学園にいなかったはずだ」
そっか。黒澤くんに学校で透くんを見たことがあるかもって言われたときは、ドキリとしたけど。
透くんは昔と変わらず優しい人だから、不良とかケンカとか、そういうものとは無縁そうだし。
黒澤くんが見たっていう人は多分、人違いなんだろうな。
「よし。それじゃあ、栞里。俺と一緒に帰るぞ」
「うん。お願いしても良い?」
私も、黒澤くんと一緒に帰りたいから。



