それから30分ほどして、勉強を終えた私は帰ることに。
「透くん、私そろそろ帰るよ」
「20時半過ぎか……さすがに俺も帰るよ」
透くんと同時に席を立つ。
「そうだ。もう暗いし、女の子ひとりだと危ないから。良かったら、駅まで一緒に行かない?」
「いいの?」
「うん。まあ、一番は俺が栞里ちゃんと帰りたいからなんだけど」
「え?」
透くん、それって……。
「えーっと、ほら! 昔みたいにさ」
「ああ! そういえば、小学生のときは透くんとよく一緒に登下校してたもんね」
一緒に帰りたいって言われて一瞬ドキッとしたけど、そういうことかぁ。
「学校帰りに栞里ちゃんと、近所の駄菓子屋さんに寄り道したりしたよね」
「うんうん。あのお店のおばあちゃん、お菓子をよくおまけしてくれたなぁ」
懐かしい。小学生の頃、下校中に私が道で躓いて転んで、透くんに絆創膏を貼ってもらったこともあったっけ。
透くんと話しながら階段をおりて、1階の出入口から外に出ると、少し冷たい夜風が頬を掠める。
「栞里!」
突然、声をかけられそちらを見ると、学ラン姿の黒澤くんが壁にもたれて立っていた。
「えっ。黒澤くん、どうしたの!?」
「栞里のこと、迎えに来た」
そう話す彼の横には、一台のバイクが停めてある。



