黒澤くんの一途な愛



「おいっ、静かにしろよ……痛っ」


蘭菜ちゃんともども強引に連れて行かれそうになっていると、ドカッという音が辺りに響いた。


それと同時に腕の圧迫感が消え、進藤くんから身体が離れた。


顔を上げた先には村崎くんと赤松くんがいて、進藤くんたちの腕を捻り上げる。


「痛たたたたっ」

「進藤、君……誰の女に手を出してるのか、分かってるんだろうな」


──ドカッ!


赤松くんは進藤くんの腕を捻り上げながら、容赦なく彼のみぞおちに蹴りを入れた。


「うっ!」


蹴り飛ばされた進藤くんは、地面にうずくまっている。


村崎くんが相手していた、緑色の髪の男も同様にくたばっていた。


赤松くんや村崎くんが戦うところは初めて見たけど、黒澤くんだけでなく二人とも強いんだ。


「くそっ!」

「覚えてろ!」


進藤くんたちは、足をもつれさせながら駆け去って行った。