黒澤くんの一途な愛



数日後の放課後。


私は蘭菜ちゃんと新しくオープンしたカフェに行くため、制服姿のまま街に来ていた。


蘭菜ちゃんと話しながら、しばらく歩いていると。


「ん? ねぇ、あれってもしかして……」


蘭菜ちゃんが、突然立ち止まった。


「どうしたの、蘭菜ちゃん」

「いや。あそこを歩いてるのって、黒澤くんじゃない?」

「え?」


蘭菜ちゃんが指さす方向へ目をやると。


「!」


道路を挟んだ向こう側の通りに、南実さんと並んで歩く黒澤くんが見えた。


「一緒にいる女の子、可愛い! スタイルも抜群だし、やば〜」


隣にいる蘭菜ちゃんが、少し興奮したように声を出す。


黒澤くん、今日は用があるから一緒に帰れないって言ってたけど……南実さんとお出かけだったんだ。


「黒澤くんといるあの美少女は、一体誰なの!? 栞里ちゃんがいるのに、黒澤くんまさか浮気とかじゃないよね!?」


私と黒澤くんが仮の恋人ではなく、本当に付き合っていると思っている蘭菜ちゃんの顔が険しくなる。