魔法学園の片隅で、先生に玉砕覚悟で告白したらプロポーズされました

 結婚式が終わった後の別室で、取っておいてもらったケーキを一緒に食べ合う。
 式の最中は、食べる時間がないからだ。

「はい先生、あーん」
「お前は……」

 苦笑する先生の口に、生クリームのついた苺をほおりこんだ。

「……本当によかったのか、俺で」

 苺が口の中からなくなってから、先生が探るように聞いてきた。
 整えられた髪のせいでいつもよりはっきりと見える先生の鋭い瞳に、ドキリとする。
 
「先生がいいの! 式まで挙げて何言ってるのよ」
「それに……いつまで先生って呼ぶんだ」
「――う」
「そろそろ名前で呼べよ?」
「ウ……ウィル……?」
「なんで疑問形なんだよ」

 たまに愛称でウィルと呼ばされているけど……慣れなくてちょっと恥ずかしい。

「先生なんて呼ばれていたら、いつまで経っても気ぃ張ってなきゃならんだろ」
「……張ってるの?」
「ああ。本当は生きて帰ってきてこんなに可愛い女の子と結婚できるなんて、人生最高だと叫んで思い切り甘えたい」
「え……いきなりキャラが崩壊した気がする。どうしたの」
「これからは、ずっと一緒だからな。もっと俺を、知ってもらわないとな」
「実は……色々隠しているの?」
「そうだ。本当はあの時だって好きだった。可愛くて可愛くて、抱きしめたかった」

 そう言って、今度は彼が苺を手に取りちゅっとキスをすると、私の口の中に入れた。

「やっと言える。生きているから何度だって言える。愛しているよ、一緒に幸せになろう」

 分かりにくかった、プロポーズ。
 今はこんなにも――……。

「末永く、よろしくお願いします!」

 先生が守ってくれたこの国で、私たちは顔を見合わせて笑った。


【完】