入学の儀式が終わったあと、俺たちは再び校庭に集められた。
(まだなんかあるのかよ……)
さっき気絶して、保健室で目を覚ましたばかりだ。まだ、頭がぼんやりしている。
(それにしても、さっきの……なんだったんだ?)
火事場のバカ力ってやつか? いや、それにしてはおかしい。身体の内側が熱くなって、光の玉みたいなのが出てきた。
手のひらをみつめる。
ぎゅっと握って、開く。もう一度やる。でも、何も起きない。
「祐くん大丈夫?」
隣にやってきた伊都が、心配そうにこそっと聞いてきた。
「派手なデビューやったなぁ~」
その隣にいる東間が、おかしそうにケラケラ笑っている。
「おう、もう大丈夫……なんだけど、なんかよくわかんね」
ケラッと笑ってみせるが、二人とも少し心配そうに眉を寄せていた。
パンパンと手を叩く音が聞こえて、みんなそこに視線が集中する。
「では、これより“バディ”の発表を行います」
前に立っている教師が、淡々と告げた。
「バディ……?」
隣の伊都が小さくつぶやく。
「校長のひらめきにより、今年からバディ制度を実施することになりました。生徒は二人一組で行動してもらいます。授業、任務、生活――すべてにおいて、基本はバディ単位です。もちろん寮でも同室になります」
(は? なんだよそれ、聞いてない)
周りもガヤガヤとざわつき始めた。
「フォッフォッフォッ」
突然、にゅっと姿を現した校長。俺たちは驚いて校長の方を見る。なぜか先生たちはあまり驚いていない。
「どうも今年は個性的な生徒が多いようでの、例年通りにやっていてもつまらないと思ったのじゃ」
(つまらないって、この校長、もしや遊び感覚でやってんのか……?)
「そこで! 先ほどの入学の儀ーーあれを適性検査とし、お主らの現在の実力を鑑みて、ワシの独断と偏見でバディを組んでやった」
校長の隣に立っている教師が大きな模造紙を広げた。そこには、俺たちの名前が書いてある。
「相手が気に入らんのなら、バディを解散して新しい相方をみつけてもよいぞ。ただし、単独行動は厳禁じゃ。必ず、バディで行動するように!」
(えっと、俺の名前は……あった!ーーって、マジかよ!?)
模造紙には、”神代祐ーー夜刀士稀”と書いてある。
「楽しければ、万事よし! では、健闘を祈る!」
そう言って、校長はまた音もなくシュッと消えてしまった。
(夜刀士稀って、あの銀髪野郎のことだよな?)
キョロキョロと銀髪を探していたら、振り返った奴とちょうど目が合い、あからさまにふいっと逸らされた。
(腹立つ~~~!!!)
そうだ、確か校長は、気に入らなければ解散していいって言ってた。
俺はズンズンと銀髪に向かってまっすぐ歩いていく。銀髪は少し警戒しながら身構えた。
「あのさ、えっと……」
言いかけて、言葉が詰まる。
(なんて言えばいいんだ? お前とは無理だから解散しよう……とか? いや、まだよく知らない相手のことを無理っていうのは、なんかダメな気がする……)
俺が悩んでいると、銀髪は構えるのをやめた。
「俺は誰とも組まない。お前は、好きなようにすればいい」
その声色は相変わらず冷たくて、感情がのっていない。
「……それ、逃げてるだけじゃねぇの?」
自分でも驚くくらい、自然に言葉が出た。銀髪の目が、わずかに細くなる。
「違うな。必要ないだけだ」
「は?」
「俺は一人でいい」
淡々としていた。怒っているわけでもない。だけど――ほんの一瞬だけ、目が揺れた気がした。
「……話は終わりだ」
銀髪は話の途中で俺に背を向け、スタスタと行ってしまった。
(……なんだよ、それ)
「好きなようにすればいいって言われても……」
周りをみると、みんなバディとは友好的だった。伊都と東間も、バディになったことを喜んでいるようだった。
「組む相手、他にいねぇし……最悪だ」
バディを確認したら寮に移動しろ、という教師の指示で新入生たちがぞろぞろと移動する。
俺は小さくため息をついて、伊都と東間のあとを静かについていった。
(まだなんかあるのかよ……)
さっき気絶して、保健室で目を覚ましたばかりだ。まだ、頭がぼんやりしている。
(それにしても、さっきの……なんだったんだ?)
火事場のバカ力ってやつか? いや、それにしてはおかしい。身体の内側が熱くなって、光の玉みたいなのが出てきた。
手のひらをみつめる。
ぎゅっと握って、開く。もう一度やる。でも、何も起きない。
「祐くん大丈夫?」
隣にやってきた伊都が、心配そうにこそっと聞いてきた。
「派手なデビューやったなぁ~」
その隣にいる東間が、おかしそうにケラケラ笑っている。
「おう、もう大丈夫……なんだけど、なんかよくわかんね」
ケラッと笑ってみせるが、二人とも少し心配そうに眉を寄せていた。
パンパンと手を叩く音が聞こえて、みんなそこに視線が集中する。
「では、これより“バディ”の発表を行います」
前に立っている教師が、淡々と告げた。
「バディ……?」
隣の伊都が小さくつぶやく。
「校長のひらめきにより、今年からバディ制度を実施することになりました。生徒は二人一組で行動してもらいます。授業、任務、生活――すべてにおいて、基本はバディ単位です。もちろん寮でも同室になります」
(は? なんだよそれ、聞いてない)
周りもガヤガヤとざわつき始めた。
「フォッフォッフォッ」
突然、にゅっと姿を現した校長。俺たちは驚いて校長の方を見る。なぜか先生たちはあまり驚いていない。
「どうも今年は個性的な生徒が多いようでの、例年通りにやっていてもつまらないと思ったのじゃ」
(つまらないって、この校長、もしや遊び感覚でやってんのか……?)
「そこで! 先ほどの入学の儀ーーあれを適性検査とし、お主らの現在の実力を鑑みて、ワシの独断と偏見でバディを組んでやった」
校長の隣に立っている教師が大きな模造紙を広げた。そこには、俺たちの名前が書いてある。
「相手が気に入らんのなら、バディを解散して新しい相方をみつけてもよいぞ。ただし、単独行動は厳禁じゃ。必ず、バディで行動するように!」
(えっと、俺の名前は……あった!ーーって、マジかよ!?)
模造紙には、”神代祐ーー夜刀士稀”と書いてある。
「楽しければ、万事よし! では、健闘を祈る!」
そう言って、校長はまた音もなくシュッと消えてしまった。
(夜刀士稀って、あの銀髪野郎のことだよな?)
キョロキョロと銀髪を探していたら、振り返った奴とちょうど目が合い、あからさまにふいっと逸らされた。
(腹立つ~~~!!!)
そうだ、確か校長は、気に入らなければ解散していいって言ってた。
俺はズンズンと銀髪に向かってまっすぐ歩いていく。銀髪は少し警戒しながら身構えた。
「あのさ、えっと……」
言いかけて、言葉が詰まる。
(なんて言えばいいんだ? お前とは無理だから解散しよう……とか? いや、まだよく知らない相手のことを無理っていうのは、なんかダメな気がする……)
俺が悩んでいると、銀髪は構えるのをやめた。
「俺は誰とも組まない。お前は、好きなようにすればいい」
その声色は相変わらず冷たくて、感情がのっていない。
「……それ、逃げてるだけじゃねぇの?」
自分でも驚くくらい、自然に言葉が出た。銀髪の目が、わずかに細くなる。
「違うな。必要ないだけだ」
「は?」
「俺は一人でいい」
淡々としていた。怒っているわけでもない。だけど――ほんの一瞬だけ、目が揺れた気がした。
「……話は終わりだ」
銀髪は話の途中で俺に背を向け、スタスタと行ってしまった。
(……なんだよ、それ)
「好きなようにすればいいって言われても……」
周りをみると、みんなバディとは友好的だった。伊都と東間も、バディになったことを喜んでいるようだった。
「組む相手、他にいねぇし……最悪だ」
バディを確認したら寮に移動しろ、という教師の指示で新入生たちがぞろぞろと移動する。
俺は小さくため息をついて、伊都と東間のあとを静かについていった。


