(帰りたい…腹も痛い……)
重い足を引きずるようにして円の中に入った。みんなの視線が、俺に集中する。
「祐くん、がんばれー!」
伊都の張り上げた声が、少しだけ緊張を和らげてくれる。
「では、始めます」
「あ、ちょっ、待ってーー」
教師が手をかざすと同時に空間が歪む。影が、ゆらゆらと現れた。
「でっ、でかっ!!」
今までで一番大きな影が、円の中に広がっていく。
「でかいでかいでかいでかい!!」
(やばいって! こんなの、絶対無理だろ!!)
頭の中が真っ白になって、身体が硬直する。
影が、にやりと笑った。
「ひいいぃぃぃぃ!!」
影に背を向けて全力疾走。チラと後ろを向くと、影は広がりながら俺を追ってきていた。
「どうすりゃいいんだよー!!」
俺は、東間や銀髪みたいに妖を祓えないし、伊都みたいに心を開くこともできない。しかも霊具もまだ持ってない。俺にできることはーー
「……って、やっぱ思いつかねぇよー!」
時々後ろを振り返りながら、円の中を逃げ回っていると、
「うわっーー」
足がからまってバランスを崩した。
――ズザザザザザ!!
頭から地面に突っ込んで派手に転んだ。頭上には影が迫っている。
(だめだ! やられる!!)
母さんの顔が浮かんだ。
「くっそがー!!」
身体を反転させて、無我夢中で手のひらをかざす。体の内側が熱くなり、その熱が手のひらに集中する。小さな光の玉のようなものが出現した。――その瞬間、周りの雑音が遮断され、妖めがけて弾丸のように飛んで行った
「え……」
光の玉は、妖の身体を貫き、結界をも破壊して、山の彼方へ飛んで行ってしまった。
「な、なにが起きたんだ……?」
周りで、がやがやと騒ぐ声がする。
東間と伊都が駆け寄ってきた。
「……なんだよ、これ……」
おれはそこで意識を失った。
「フォッフォッフォッ。今年はおもしろい新入生が多いようじゃのぅ」
――校庭の木の上、儀式をみていた校長が楽しげに笑っている。
「じゃが、神代祐……あやつの力はーー」
顎に手をあてて、倒れている祐をじっと観察する。
「バディ制度、試してみるかのぅ~」
なにかを企んでいるような意味深な笑みを浮かべて、素早く去っていった。
重い足を引きずるようにして円の中に入った。みんなの視線が、俺に集中する。
「祐くん、がんばれー!」
伊都の張り上げた声が、少しだけ緊張を和らげてくれる。
「では、始めます」
「あ、ちょっ、待ってーー」
教師が手をかざすと同時に空間が歪む。影が、ゆらゆらと現れた。
「でっ、でかっ!!」
今までで一番大きな影が、円の中に広がっていく。
「でかいでかいでかいでかい!!」
(やばいって! こんなの、絶対無理だろ!!)
頭の中が真っ白になって、身体が硬直する。
影が、にやりと笑った。
「ひいいぃぃぃぃ!!」
影に背を向けて全力疾走。チラと後ろを向くと、影は広がりながら俺を追ってきていた。
「どうすりゃいいんだよー!!」
俺は、東間や銀髪みたいに妖を祓えないし、伊都みたいに心を開くこともできない。しかも霊具もまだ持ってない。俺にできることはーー
「……って、やっぱ思いつかねぇよー!」
時々後ろを振り返りながら、円の中を逃げ回っていると、
「うわっーー」
足がからまってバランスを崩した。
――ズザザザザザ!!
頭から地面に突っ込んで派手に転んだ。頭上には影が迫っている。
(だめだ! やられる!!)
母さんの顔が浮かんだ。
「くっそがー!!」
身体を反転させて、無我夢中で手のひらをかざす。体の内側が熱くなり、その熱が手のひらに集中する。小さな光の玉のようなものが出現した。――その瞬間、周りの雑音が遮断され、妖めがけて弾丸のように飛んで行った
「え……」
光の玉は、妖の身体を貫き、結界をも破壊して、山の彼方へ飛んで行ってしまった。
「な、なにが起きたんだ……?」
周りで、がやがやと騒ぐ声がする。
東間と伊都が駆け寄ってきた。
「……なんだよ、これ……」
おれはそこで意識を失った。
「フォッフォッフォッ。今年はおもしろい新入生が多いようじゃのぅ」
――校庭の木の上、儀式をみていた校長が楽しげに笑っている。
「じゃが、神代祐……あやつの力はーー」
顎に手をあてて、倒れている祐をじっと観察する。
「バディ制度、試してみるかのぅ~」
なにかを企んでいるような意味深な笑みを浮かべて、素早く去っていった。


