「肩を回せ」
「お、おう」
なんの抵抗もなく肩を回してきた。
(ええ……気にしてたの俺だけ?)
俺も肩を回し、再び歩き出す。
「いち、に」
今度は、ちゃんとタイミングを合わせる。さっきより、ほんの少しだけ進みやすい。
「……もう少し、ゆっくり」
「……わかった」
銀髪の歩幅が、わずかに落ちた。
(合わせた……?)
その変化に気づいて、少し驚く。
「いち、に、いち、に」
さっきよりスムーズに進む。完全じゃないけど、確実にマシになっていた。
「……悪くないな」
「だろ」
気づけば、少しだけ息が合っていた。山道を進みながら、風が頬をなでる。隣にいるのは、相変わらず無愛想な銀髪。
(さっきより、やりやすい、かも……)
「おい、後ろ」
ゆっくり走りながら銀髪が言う。後ろを振り返るとーー
「げっ!」
たくさんの黒っぽい影が、距離を取って俺たちを追いかけてきていた。二人三脚に必死で気づかなかった。
「昼食のカレーのおかげで近づけないようだ」
「あ、スパイス浄化カレー!」
胡散臭い校長オリジナルメニューが、まさかこんな風に役立つなんて。
「校長さまさま、だな」
隣の銀髪をみると、表情が柔らかくなっている。ような気がした。
「油断するな。いつカレーの効果が切れるかわからない」
すぐにいつもの冷たい顔に戻った。
「おどすなよ……」
途中でつまづきながらもなんとか山を一周し、ゴールの校門にたどり着いた。学校の敷地内に入ると、もう黒い影は追ってこなくなった(学校の結界により入れない)。結果はビリ。
先にゴールしていた東間と伊都が、ゆっくりとこちらにやってきた。
「おつかれ~」
「二人とも大丈夫? ぼくはもう、一歩も、歩けない……」
伊都はよろよろと東間にもたれかかり、東間は当たり前のように伊都を支える。
銀髪が素早く紐を解いて、やっと離れられた。
「大丈夫だ、問題ない」
そう言いながらも、少し疲れた様子で、先生に紐を返しに行った。
「どうや? ちょっとはバディらしくなったか?」
「まぁ、マシにはなったかな」
くっついていたおかげで、少し銀髪のことを知れた。
「俺は、誰とも組まない」
いつの間に戻ってきたのか、銀髪は俺たちに向かって冷たく言い放つ。
「はい、今日はここまで! みんないい感じにバディの息、合ってきたから、この調子で次の授業もがんばりましょー! では、気をつけて戻ってねー!」
先生の一言で解散になり、銀髪はさっさと校舎に戻ってく。
「頑固やなぁ~。こうも拒否されると、逆に燃えへん? 意地でも俺と組みたいって思わせたろか!って」
東間の言葉を聞いて、少し考える。あいつはたぶん、俺自身を拒否してるわけじゃない。
「……あいつさ、あんなんだからわかりにくいけど、俺たちを嫌ってるわけじゃないんだよな」
東間は意外そうに目を丸くした後、へぇ~と興味深そうにうなずいた。
「なんか事情があるんかな~」
遠ざかっていく銀髪の背中はまっすぐ伸びているけれど、少しだけ寂しそうだった。
「お、おう」
なんの抵抗もなく肩を回してきた。
(ええ……気にしてたの俺だけ?)
俺も肩を回し、再び歩き出す。
「いち、に」
今度は、ちゃんとタイミングを合わせる。さっきより、ほんの少しだけ進みやすい。
「……もう少し、ゆっくり」
「……わかった」
銀髪の歩幅が、わずかに落ちた。
(合わせた……?)
その変化に気づいて、少し驚く。
「いち、に、いち、に」
さっきよりスムーズに進む。完全じゃないけど、確実にマシになっていた。
「……悪くないな」
「だろ」
気づけば、少しだけ息が合っていた。山道を進みながら、風が頬をなでる。隣にいるのは、相変わらず無愛想な銀髪。
(さっきより、やりやすい、かも……)
「おい、後ろ」
ゆっくり走りながら銀髪が言う。後ろを振り返るとーー
「げっ!」
たくさんの黒っぽい影が、距離を取って俺たちを追いかけてきていた。二人三脚に必死で気づかなかった。
「昼食のカレーのおかげで近づけないようだ」
「あ、スパイス浄化カレー!」
胡散臭い校長オリジナルメニューが、まさかこんな風に役立つなんて。
「校長さまさま、だな」
隣の銀髪をみると、表情が柔らかくなっている。ような気がした。
「油断するな。いつカレーの効果が切れるかわからない」
すぐにいつもの冷たい顔に戻った。
「おどすなよ……」
途中でつまづきながらもなんとか山を一周し、ゴールの校門にたどり着いた。学校の敷地内に入ると、もう黒い影は追ってこなくなった(学校の結界により入れない)。結果はビリ。
先にゴールしていた東間と伊都が、ゆっくりとこちらにやってきた。
「おつかれ~」
「二人とも大丈夫? ぼくはもう、一歩も、歩けない……」
伊都はよろよろと東間にもたれかかり、東間は当たり前のように伊都を支える。
銀髪が素早く紐を解いて、やっと離れられた。
「大丈夫だ、問題ない」
そう言いながらも、少し疲れた様子で、先生に紐を返しに行った。
「どうや? ちょっとはバディらしくなったか?」
「まぁ、マシにはなったかな」
くっついていたおかげで、少し銀髪のことを知れた。
「俺は、誰とも組まない」
いつの間に戻ってきたのか、銀髪は俺たちに向かって冷たく言い放つ。
「はい、今日はここまで! みんないい感じにバディの息、合ってきたから、この調子で次の授業もがんばりましょー! では、気をつけて戻ってねー!」
先生の一言で解散になり、銀髪はさっさと校舎に戻ってく。
「頑固やなぁ~。こうも拒否されると、逆に燃えへん? 意地でも俺と組みたいって思わせたろか!って」
東間の言葉を聞いて、少し考える。あいつはたぶん、俺自身を拒否してるわけじゃない。
「……あいつさ、あんなんだからわかりにくいけど、俺たちを嫌ってるわけじゃないんだよな」
東間は意外そうに目を丸くした後、へぇ~と興味深そうにうなずいた。
「なんか事情があるんかな~」
遠ざかっていく銀髪の背中はまっすぐ伸びているけれど、少しだけ寂しそうだった。


