それからママは、ダン兄の両親のコトを、ママの知ってる全てを話してくれた。

夫妻がどんな人だったのか。

ダン兄を、どれだけ愛していたか。

「クリスティーンとトラビスは永遠にダンの両親よ。香月暖は、同時にダニエル・暖・バレリーでもあるの。どちらかひとつを選ぶ必要なんてない。あなたは、ダニエル・バレリーでいていいの。」


ママの言葉に、ダン兄は静かに涙を流した。

その横顔が、とてもキレイで、あたしは天使の泣き顔を見ているような気がした。


「不思議ね。出会った頃のあなたは、クリスティーンにとても良く似ていたのに、今はトラビスそっくりの、男前の顔してるんだもの。」




ママがダン兄を見ながら言った。