「爽ちゃん、フロントはあっち。」
「え、えっ?!」
「ほな、はよせんと。3分経つ。」
先輩がお兄さんに深い会釈をして、私の手を引いて元来た道へと引いていく。
3分経ったら、カップラーメンが完成しちゃうから。麺が伸びる前に、ほな行こかって。そんな感じで刈谷を引っ張っていく先輩。
先輩の手から伝わる温度が、熱くて。冷えた涙の温度をもう忘れてしまったよ。
「あ、あのっ。えっと、探しに来てもらっちゃって、すみません。ありがとうございます。」
何に驚いていいのか、今は一つ一つ紙に書いて並べていかないと整理ができないので、まずはお礼を伝えてみる。
「やっぱな。爽ちゃん、ここ来た時、なんとなく不安そうな顔やったもん。」
「え?」
「きっと広い森ん中、迷子になりそうって意味で不安そうやったんやろなあって。」
「…………」
「ジェイソンよりも、爽ちゃんが迷子んなって帰れんくなる方がずっと怖いわ。」
……ぐ、ぐうの音も出ないね。
東京の路線だけでもいっぱいいっぱいなのに。こんな同じ景色の森の中、絶対迷子になるだろうなあって、ちょっと不安だったんで大正解です。
そんな些細な表情まで見逃さずにいてくれたなんて。
とんでもない甘やかしっぷりですね、りっくん。



