こっから先ははじめてだから


「っわ!先輩?!」

「爽ちゃん!まじ焦った!どこ消えたかと思った!」


キィキィキィと甲高い鳴き声を発する鳥の声。


息切れしている先輩の揺れる鼓動。小さな私が先輩に埋もれて、きっとお兄さんは唖然としている。


「ああ、やっぱりお二人。絵になるなあ。」


予想が的を外れて、お兄さんの嬉しそうな声が聞こえる。


とってもいいお兄さんなのに、きっと先輩、また突き放すようなこと言っちゃうんだろうなあ。


ゆっくりと私を解放した先輩が、お兄さんの方を見てちょっぴり威嚇する空気を出す。


ほら、モズが縄張り争いで鳴いているのとおんなじ。 


「……あ、あの、俺は彼女を撮っていたわけではなくって、あそこにいるモズを撮っていただけなので、」


お兄さんが、なんとなく弁明するような言葉を並べて。


そして先輩が、私の肩を抱いて言った。


「今はカップルじゃないんですが、あと3分後にはカップルになる予定です。」

「…………え…?」

「でも会社の関係者に見られても面倒ですし、写真はお断りさせていただきます。」

「は、はあ。」


こっちの予想も、見事に的が外れた。


淡々と、はっきりとそうお兄さんに伝えた先輩の声。モズがキィキィキィと、逃げることなく甲高い鳴き声を上げている。


先輩、威嚇されています。