昔、一人の女性に何度か告白されたことがある。
彼女のねばりに根負けして付き合ってみれば、『李月君ってつまらないね。』って振られたんがずっと引っかかっとる。
トラウマほどのもんとも違うけれど。数学オリンピックで、今年こそ金賞だって周りから期待されて、実際銅賞しか獲れず、落胆されたあの感覚。
さっき動揺しとったんは、爽ちゃんに『ちょっとだけ、嫌』って言われたから。今動揺しとるんは、爽ちゃんに、拒絶されたように手を解かれたから。
それや。と気付けば、自分がどれだけ爽ちゃんに入れ込んでるかよう理解できる。
親心?兄心?んなわけないって。
自分から触れたいと思える初めての女性に、恋心の手前で線引きしとったヘタれな自分。
昨日、朋政課長と休憩所で喋っとった爽ちゃんの表情が、柔らかすぎて。
六神くん時と一緒、また勝手に爽ちゃんが東の男好きなんかと疑って。そうじゃないと分かった途端に、一気に心が脱力して。
気付けば、キスしとった。
憶測ばかりが先走る自分の身勝手な嫉妬心が、ほんま嫌んなる。あかんな。キスまでしといて好きなん隠すんが、一番あかん。
なあ爽ちゃん、こんなヘタれな西の“りっくん”には愛想尽かしてしもた?



