近場の神社や公園を散策がてら、テントと、グランピングキャビンと呼ばれるコテージのあるホテルに到着した。
その間も先輩は何度も私に触れようとしてくるのに、私はそれを避けてしまっている。
だって触れられれば触れられるほど、好きな気持ちは増し増しになっちゃうから。
「……爽ちゃん、疲れた?大丈夫?」
チェックインカウンターで、ホテルのスタッフさんがいる中、先輩が私の顔を覗き込んでくる。
フロントコテージの周りに生い茂る、くすんだ朱やカラシ色の広葉樹林が美しい。さらに言えば西のスパダリのお顔も美しい。
眉を下げて、寂しげに私を見つめる先輩。
そんな風に見つめないで。先輩に対する拒否権が居たたまれなくって、つい先輩を受け入れてしまいそうになるから。
森のところどころにあるテントやキャビン。
その合間を楽しそうに走り抜けていく子供やわんこたち。子供とわんこの笑顔を見て、自分もちゃんと楽しまなきゃって気持ちが湧いてきた。
そうだ、先輩と二人で旅行に来れるのなんて、もう二度とないかもしれないのだ。
「ファミリー層が多いよな。」
「ですね。森の中でも静かすぎなくって安心です。」
「爽ちゃん、森の中こわい?」
「いえ、ジェイソンが出てきそうでちょっとワクワクします!」
ふふっと頭上から笑いをこぼす先輩。私が見上げれば、頬に張り付く髪を一筋、指で退けてくれた。



