「あ、はは。じゃあ私にとってりっくんは、お兄ちゃんですね!」
「……ああ。そうやね。」
カラ元気の、精一杯の笑顔で妹になりきる。
先輩もやわらかい笑顔で私を見て、愛おしそうに頭を撫でてくれるのに。落ちた視線は、どうしても悲しみに暮れてしまうのだ。
地面に張り付いているもみじは、あんなにも枯れた色をしているのかって。
好きだと自覚した瞬間に振られてしまうのは、きっと長年片思いをしていた人に比べれば大した辛さじゃないから。大丈夫だよ。
こんなにも初めてをくれた先輩には感謝しないと、きっとバチが当たる。
「手、寒ない?繋がん?」
なんでもないように繋がれていた手は、もう嬉しさを感じなくなってしまっている。
「……寒くない、です。それに狭い道なんで、縦になって歩いた方が…。」
「……そやね。」
手の平を出してくれていた先輩の綺麗な指。関節が曲がって、ゆっくりと引いていく。
断り方が、あからさまだったかもしれない。先輩が不思議そうに私を見つめて、広い肩に掛ける鞄を掛け直した。
こんなにも沢山触れてくるのは、やっぱり私を女性として意識していない証拠だ。
もう一度、晴雲酒造に戻りたい。純米吟醸で酔わないとやってられないじゃん。
甘いのに、苦味のある憂先輩。
でもね、気持ちは沈んでいるのに、やっぱり好きって気持ちに変わりはないんだよ。りっくん。



