こっから先ははじめてだから


「――――お待たせしました。月御膳になります。」


店員さんが御膳を持ってきてくれて、刈谷の勇気は一旦途絶えてしまう。


「がんも、美味そう。」

 
先輩が綺麗にいただきますをして、お箸で丸いがんもを四等分に切り分けていく。


「……きれいな四分円…」

「こうやってなんでも図形に切る癖、昔から変わらんくてなあ。」 

「りっくん、器用だなあ。」

「もっとゆうて?」 
 
「き、器用ですね!」

「そっちちゃう。りっくんの方。」


先輩に、あーんと四分円のがんもを口元に持ってこられる。


りっくん。っていう間もなく、私はあーん。とそれを頂いた。出汁が染み染みで美味しい。 
 

「おいひいです、りゅっきゅん。」
「ほうですか。りゅっきゅんも頂きます。」  

 
お箸の合間に入る中指のフォームが綺麗で、先輩の手元ばかりを見てしまう。


もう自分の好きの気持ちに嘘はつけないよ。でも、先輩に想いを伝えられる勇気の持ち合わせはない。


つい最近まで苦手だった男の人。でも先輩が踏み込んできてくれた優しさは、苦手を越えて恋になっちゃって。


まあなんてゲンキンな宇宙人。