「李さんが駄目なら、李君…あ、りっくんとか?」
「……なんや、恥ずかしいけど悪ない。」
「り、りっくん…って先輩なのにいいのかな」
「ええよ。嬉しいわ爽ちゃん。」
つまんでいたもみじをふわりと地面に落として。それで私の髪の毛を整えるようにして撫でてくれた。
ひらひらともみじが地面に着地した瞬間、私の眼前に先輩の顔が迫る。
「俺の名前覚えてへんかったら、お仕置きするとこやった。なんて。」
真顔から、不意に口角を上げる先輩。ちょっと意地悪そうに笑った。
お仕置きって、なに。ここに私を一人ぼっちにさせてどっか行っちゃうとか?
そんなわけないことくらい分かっている私は、震える唇を噛み締めて、先輩の背中を頑張ってついて行った。
食事処ではお座敷を案内されて、ブーツを脱ぐため畳に腰を下ろした。今日はチャッキーの靴下なんて履いてないよ?
「あれ?」
ブーツのチャックがなかなか下までおりず、手間取っていれば先輩が私の足元でしゃがんで「貸して」とブーツのチャックをつまむ。
「えッあのっ、だいじょうぶなんでッ」
声が上ずって、頭と頭がぶつかりそうになり思わず上半身を後ろに反らす。
「あ、チャック噛んでるな」
そう言いながらも、割りとスムーズにチャックを下ろした先輩。先輩ったらこういうのを素でやってくるから、私も全力で拒否できないんですよ?



