「ねえ刈谷ぃ!渋沢のお礼に、キスの一つや二つしてやれって思わない?!」
「えっ、」
目の前に座るまゆゆが、酔った赤い顔で私に同意を求めてくる。
その言葉を言われて、自分の顔が一気に熱くなった。
私、いい年して何いってるんだろう。初めてのキスだから、憂先輩にももっと大事に思って欲しいだなんて。
まゆゆの言う通り、きっとキスの一つや二つ、当たり前に交わされるのがアラサーなんじゃん?
男女間の基準値が赤ちゃんの刈谷脳。
基準値をまゆゆ辺りにして考えて、先輩にもう一度リベンジのメッセージを送る。
〈すみません!冗談です!全然大丈夫です!なんともないです!〉
むしろ初めてだとか!恥ずかしい女ですみません!、と心の中で付け足しておいた。赤ちゃん、必死。
それからは、ぱるるんとまゆゆとの女子会をちゃんと楽しもうと一旦スマホを閉じた。あー恥ずかし恥ずかし。
「で?刈谷は結局誰にキスされたの??」
ぱるるんが、改めて食い入るように聞いてくる。
ねえ、なんでこのタイミングでぶり返すの?!



