「この渋沢のお礼に、ぱるる、ひと晩身体提供するべきだよ!」
「は、はあ!?な、なな何言ってんの!」
「それぐらいのお礼はすべきだね!出来ないならその渋沢栄一寄越しな!いっそRainLADYに費やすから!」
「先輩は純粋に私たちに女子会を楽しんでもらおうと諭吉をくれただけでだねえ!」
「クソ、私も一弥に執着されたい!」
「そこは池駒でいいじゃん!」
まゆゆはRainLADYというアイドルの、韓国ハーフ、響木一弥君の推し活に励んでいるらしい。
それにしても朋政課長スゴすぎ。私が勇気出して話したキス話を、手紙一つ、いや渋沢一枚でかっさらっていくんだもん。
ため息も出ない朋政課長の戦略。唇を尖らせてみようにも、本人いないから反抗も出来ず。
ふてくされたまま、ふと鞄からメール受信の音源を感じ取った。
ぱるるんとまゆゆが渋沢さんを使うか使わないか討論をしている中、スマホ画面のメッセージをさりげなく読み取る。
《今日は爽ちゃんの初めてをかっさらってごめん。本当にごめん。蚊に刺されたと思って忘れて。》
サラリと読み流して、一旦テーブルの上の鶏皮と焼きトマトの串をパクリと食べる。脂身と酸味のハーモニーだとか、食レポできるほど脳が働かない。
もう一度ちゃんと読み直そうと、スマホ画面に視線を戻せば。
今日一番のドキドキが激的に刈谷を襲う。クラッシュ!
『忘れて。』!?忘れて欲しいってこと??私、蚊に刺されたら、けっこう気にする方ですよ?
先輩にとっては大したことじゃなかったってこと…?



