こっから先ははじめてだから

 ―――――――……


「カンペイ!」
「刈谷の瞳に、カンペイ!」


チャイニーズダイニングにて。横浜支部同期3人での女子会。


今しがた中国語で乾杯がなされたところ。青と紫と朱とピンクのネオン色に包まれた空間。


10段もない階段を上がった先にある半ロフトのような個室で、先発、『桂花陳酒《けいかちんしゅ》 金木犀《きんもくせい》』をたしなむ。


楊貴妃が愛したといわれる、白ワインにキンモクセイの花を3年漬けてできた混合酒。ずっと飲んでみたかったの。


「金木犀の花言葉は陶酔!まさに私たち今、男に陶酔してるよね!」


太くて短いグラスを手に、まゆゆが疲れた瞳をぎゅっとつむりながらア"ーーーとオヤジ臭さを口から出した。


「え?刈谷、恋してるの??まさか大輪田くん?!」


毛先を内巻きに、珍しくおしゃれをしてきた春風ちゃんこと、ぱるるんが私を見る。麻練ピーナッツをつまみ、ちょっと辛かったのか、桂花陳酒をすぐに飲んだ。


「えっとぉ。大輪田くんは、実はね。異動前に告られて断っちゃって。」


「はあ?!」  
「え?そうだったの?!」


横浜支部システム管理部の大輪田君。異動直前、研修当初から私を好きだったと告白してくれたんだけど、ごめんなさいしちゃったんだよね……。