右手にはぱるるんへの悲恋ラブレター、左手には飲まれない予定のCOSTA。
両手が違和感だらけの中、憂先輩の切なげな顔が迫ったのは、突然のことだった。
「―――っ」
私の唇にキスをした?
キスをした。ようだーーー。
胸とお腹が大きく前後に揺れ動く。身体の中が活発になっている11時。きっとあと4時間は胸とお腹がいっぱいだろう。
どうせ夜女子会だし、お昼少な目にして夜沢山食べればいいよね。
休憩所で呆然と立ちすくむ刈谷。でも頑張る刈谷。憂先輩の質問に、真摯に対応する。
「…い、いまです!」
「…え?」
「初キス…今、でした…。 」
「……」
憂先輩の指先が私から離れて、小さな咳払いをする先輩の…気管支。
薄い色なのに色気のあるふにふにした唇。フニクリフニクラ。
つい見惚れて、すぐに視線を反らす。意識しちゃう余韻がふにふに。
憂先輩が自販機にICカードをかざして、コーンポタージュかホットレモネードのボタンを行ったり来たり。先輩の指がさまよう。
「社内にコンポタとか意味不明やな……」
そう、自分で自分を納得させるように。確信を持つ指先がホットレモネードのボタンを押した。
そして私の手に持つCOSTAを一瞥して。隙だらけの左手から奪った先輩。代わりにホットレモネードの小さなペットボトルを渡してくれた。



