こっから先ははじめてだから


冷淡冷徹無表情な憂先輩。朋政課長のウィンクの前でも微動だにせず。


さすが、スパイシー西のスパダリ様です。



「…爽ちゃん、朋政課長と仲ええの?」

「え?いえ、」

「それ、ラブレター?会社で今時、凄い人やな。」

「ですよね。ウけますよね。」

「受けるの?」

「はい?」

「そのラブレターの返事、受けるの?」

「……え?ああ、違いますよ!これは。」


私はラブレターの宛名を憂先輩に見せた。


冷淡冷徹無表情な顔が、眉間にシワを寄せている。


「これは私の友達の春風ちゃんに向けたお手紙なんです。」

「…え、そうなん」

「そうなんです。」


ふふっと憂先輩を見上げて笑ってみせた。東のスパダリと言われている朋政課長が、彼氏持ちの女の子にラブレターなんて令和ショックですよねって。


すると先輩が私の頬に触れて。


指先が関節なりにしなる。先輩の指のお腹、やたら熱くって。とても冷淡さが感じられない。


くるりと瞳の奥が揺れる。先輩の指先が次第に刈谷の唇にきて。親指が乾いた唇をなぞった。


「…爽ちゃん、」

「は、はいっ」

「初《ファースト》キスって、いつ?」

「うぇっ」


おもちゃにも似た声が不意に唇から漏れて、慌てて唇を閉じる。


乾いている下唇が上唇にひっついて、舌先に湿気を求めるも。


憂先輩にまだ頬を触れられているから、緊張のあまり舌先が迷子になった。