中学1年生の時、数学検定に臨んでみた。

羅列する数字はモノをいう。1は2より小さい。3は2より大きい。1+1=2でしかない。

正誤のゆらぎは一切許しませんよ、という冷淡無慈悲なアイツ。それが数学。


数学だって文章問題は国語力が試される。しかしながら過去問をみればパターンが分かるから、私は難なく数検一級に合格した。 

でも崇められるなんてのは神様と推しだけらしい。周りにはもの珍しくも、奇怪な目を向けられていた。それが刈谷爽という人物。

ほら私、不思議ちゃんだから。

昔から可愛いものよりも、海外のホラーゲームに出てくるようなサイコ系キャラクターやブラックジョークに富んだ物語が好き。

そんな不思議ちゃんは、数学だけ飛び抜けた才能を発揮した。

だから、人からは綺麗に一線を引かれる。連絡先を知る友達は極少数。

でも一人だけ、私のミステリアスゾーンにグイグイっと割り込んで、過剰なスキンシップを求める人物がいたのだ。

それが(すぐる)李月(りつき)という、関西弁、もとい神戸出身の彼だった。