こっから先ははじめてだから


「オツカレ古馬都ー。」

「あんたねえ!私のデスクに好き勝手に書類置いてかないでよ!」

「ごめんごめーん。古馬都はデータよりも紙派だって原始的なこと言ってたからさあ。」

「そういうことじゃなくって!あんた人様の異動願い勝手に書いて通るとでも思ってんの?!『六神千都世を世界の果てまで飛ばしたい』ってどんな事由よ?!」

「あはは!自分で書いといてなんだけどウケるね。」

「ウケねーよ!」

     
この間の飲み会で知った話なんだけど、実は朋政課長と古馬都さんは同期なんだって。研修中から犬猿の仲で有名だったらしく、今ではある意味ツーカーの仲なんだってさ。


ところでツーカーってなに??   
  

「刈谷さん、朋に変なことされなかった?」

「は、はい。大丈夫です!」

「もし変なことされたらすぐ私に相談してね!」

「……は、はい。」

  
古馬都さんが私に笑いかけてくれて、思わず硬直する。


大人の女性の美しい笑顔。きっと自分には一生備わらないものだろうと、なんとなく落ち込んでしまった。


勝手に比べて、勝手に自信喪失する刈谷。なんでこんなに卑屈で悲観的?


完璧なものを前にすると、刈谷みたいな宇宙人は小さくなって丸くなりたい。ダンゴムシに憧れるタイミングはちょくちょく訪れるのだ。